• 不動産活用のこと
  • 2023.03.01
相続財産、相続税はいくらかかる?

相続財産の相続税を計算する場合に、基礎控除があるのをご存じでしょうか。法定相続人の数によっても非課税となる場合もあります。

実は相続財産に関して知らずにいると損することがあるのです。生前に対策できるものや、
相続不動産を取得して3年以内であれば、払う税金を少なくする措置などもあります。

どのようなものが対象となるか、事前に知識として知っておくと有効でしょう。

今回は、相続税はいくらかかるのか、相続財産の計算の仕方や、相続税を減らすのに有効な方法などについて解説します。z

 

基礎控除額以下なら相続税はかからない

 

相続したからといって全てにおいて相続税がかかるというわけではありません。
相続税を計算する際には「基礎控除」があります。相続財産が基礎控除額を超える場合に相続税が発生するのです。

基礎控除額は「3000万円+(600万×法定相続人の数)」という式で求められ、法定相続人の数によって異なります。

法定相続人とは、民法で定められた相続人のこと。
被相続人(亡くなった人)の配偶者や子ども、親、兄弟姉妹が該当します。
(なお養子がいる場合は、規定にそって法定相続人の数に含められます。)

基礎控除額は相続人が1人の場合は、3000万+600万で3600万、2人の場合には、3000万+(600万×2)となり4200万です。
基礎控除額以上となった場合に相続税が発生します。

 

相続財産に該当するものは?

 

相続財産から基礎控除額を引いた金額から相続税がかかるのは前述した通りですが、
そもそも相続財産に該当するものはどのようなものがあるでしょうか。

相続財産とは、亡くなった人が所有した財産や亡くなったことにより入ってくる財産のことです。
相続財産は、次のようにして求められます。

①課税対象となる財産+②みなし財産-③非課税となる財産=相続財産

①課税対象となる財産とは現金・預貯金、株式や債権等の有価証券、土地や建物等の不動産です。

②みなし財産とは死亡保険金や死亡退職金で亡くなったことにより入ってくるお金をさします。

③非課税となる財産には生命保険の非課税枠があり、また相続人の残した債務や葬式費用等も含まれます。

なお見落としがちなものとして、相続開始前の3年以内に贈与された財産や相続時精算課税制度を適用して
贈与された財産がある場合には、相続財産に含まれますのでご注意ください。

 

相続税を計算する方法

 

ここでは相続税の計算方法について具体例を用いてご説明します。

 

①課税遺産総額を計算

 

相続財産から基礎控除額を引き、課税遺産総額を次の式で求めます。

 

相続財産ー(3,000万+【600万×法定相続人の数】)=課税遺産総額

 

例えば夫(相続財産1億)が亡くなり、妻と子が2人の場合は、
基礎控除額が4800万(3000万+600万×3)です。よって、1億ー4800万=5200万となり、課税遺産総額は5200万円です。

 

次に法定相続割合(妻は2分の1、子2人はそれぞれ4分の1)で分けます。

妻   5200万×1/2=2600万

子A   5200万×1/4=1300万
子B   5200万×1/4=1300万

②相続税の総額を計算

法定相続分で取得すると仮定して、各人の相続額をそれぞれの相続税の税率で相続税の早見表を用いて計算します。  

妻    2600万×15%-50万 =340万

子A  1300万×15%-50万=145万

子B  1300万×15%-50万=145万

相続税の早見表 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

 

その後合算して相続税の総額を計算します。この場合の相続税の総額は340万+145万+145万となるので、630万円です。

 

③相続税の総額を取得割合で按分し、納税額を計算


相続税の総額が分かったのち、本来の取得割合で按分した後で、各人の納税額を計算します。

 

1億円の財産を、妻5000万円、子がそれぞれ2500万円ずつわける場合は、

妻    630万×5000万/1億=315万

子A  630万×2500万/1億=157.5万
子B  630万×2500万/1億=157.5万 
            (※千円未満は切り捨て)

 

となり、納税額は妻315万円、子A157.5万円、子B157.5万円です。

妻の納税額に関しては、後述する配偶者に対する相続税額の軽減措置を利用することで、非課税、つまり0円です。

 

相続税を軽減する措置と控除とは

配偶者に対する相続税の軽減措置とは、配偶者の取得した財産が1億6千万円以下または配偶者の法定相続分相当の多い方までが非課税となるものです。

そのため富裕層以外ほとんどの場合に配偶者は非課税となるので、配偶者は相続税を心配する必要はないともいえます。
ただし、申告義務はあります。

また相続人が未成年者や障害者の場合は未成年者控除と障害者控除があります。
未成年者が相続した場合は、満18歳になるまでの年数1年について、10万円が控除されます。

上の例で子Aが未成年で10歳5か月の場合、10万×10年で100万円が控除されます。(※1年未満は1年として計算)

また相続人が障害者の場合には、満85歳になるまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)で計算した金額が控除されます。

 

知っておきたい相続税対策

 

相続が起きる前に対策しておくことで、効率的に相続人となる人に財産を残しておける制度があります。

贈与税の配偶者控除

 贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間20年以上の夫婦間に認められる優遇制度です。
不動産を贈与するだけでなく、不動産を購入する場合にも該当します。
贈与税の基礎控除110万とは別に2000万円まで、つまり、2110万円までの控除が受けられます。

暦年贈与と相続時清算課税制度 

暦年贈与とは、年間の贈与が110万円までが非課税にできる制度です。

例えば子どもに110万ずつ10年間かけて贈与すれば、非課税で1100万円を贈与できます。
お金だけでなく土地や建物も含まれるので、相続税対策としては有効です。
ただし、相続の開始の3年前は該当しないので注意してください。

生前贈与として2500万まで非課税としておき、相続時に相続税として清算できる相続時清算課税制度があります。
親世代が財産を早めに子世代に移転できるメリットがありますが、結局は相続税として払うので、課税の先送りともいえます。

ただ、贈与時の時価額で計算されるため、開発の予定があるなど、将来価値の上がりそうな土地であれば、相続税対策として有効でしょう。

なお暦年贈与税と併用ができず、一度相続時清算課税制度を選択すると暦年贈与には戻れないので、どちらを選ぶかはよく考える必要があります。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例の要件に当てはまれば、相続税の評価額80%を減額できます。
被相続人と生計を同一にする親族が、事業用または宅地に被相続人が死亡した後も居住したり、
事業が引継げるように一定割合の評価減を受けられるのです。

また親や祖父母が子や孫に事前に贈与できるものとして以下の3つの制度があります。

①住宅取得資金贈与

住宅を購入する際に、省エネ住宅であれば1000万まで、それ以外は500万までが非課税です。
暦年贈与か相続時精算課税制度のどちらかと併用もできるので、メリットは多いといえます。

②結婚・子育て資金の一括贈与

結婚や子育てにあてるために贈与した場合は、1000万円までが非課税です。
結婚に要した費用・住居や引っ越し・妊娠出産に必要な費用などを、
一定の要件や金融機関に預け入れるなど条件があるものの非課税で贈与できます。


教育基金の一括贈与

教育資金用に金銭を贈与した場合に、孫や子1人につき1500万円まで非課税で贈与できます。
金融機関に預け入れる等など条件があるものの、1年間の非課税枠が100万である暦年贈与よりも相続対策としては有効な手段です。

そのほかの措置としては生命保険の非課税枠の活用があります。
法定相続人に1人につき500万円が非課税となるので、もし法定相続人が3人いるとしたら1500万円まで非課税できるのです。

また相続税の取得費加算の特例は、相続した不動産を3年以内に売却すると納める税金が安くなります。

通常不動産を売却し譲渡益が出た場合は譲渡所得税を支払う必要がでてきます。
が、この特例を使うことで、取得費用に相続税の一部を上乗せすることで、譲渡所得税を軽減させられます。

3年以内の売却というしばりがあるものの、もし相続した不動産について使い道がないようであれば有効といえるでしょう。

まとめ

相続税がかかるのはどのくらいか、また相続税の計算方法と軽減措置について色々あることがお分かりいただけたかと思います。
相続税の対象は現金だけではありません。そして少々厄介なのは不動産といえるでしょう。

税制面で優遇措置やその条件を知って、相続が発生する前に対策しておく方が望ましい場合もあります。

不動産にまつわる相続税、相続不動産についてもっと知りたい方は、ぜひよろず屋不動産までお気軽にご相談ください。