- COLUMN
不動産活用コラム
- 空室対策のこと
- 2024.11.14
2023年、総務省の調査によれば、日本の空き家数が過去最多を記録しました。
人口減少や高齢化が進む中、ますます深刻化する空き家問題。放置された空き家は犯罪の温床にもなっています。
今回は、空き家を狙った具体的な犯罪事件を紹介するとともに、空き家の防犯対策や対応についても解説します。
日本の空き家率は上昇の一途
「住宅・土地統計」調査によると、2023年時点で日本の総住宅数は6502万戸(2023年10月1日現在)。その中で、約900万戸が空き家となっています。この数字を2018年(849万戸)と比べると、51万戸の増加で過去最多です。
空き家率についても、総住宅数の13.8%と、2018年の13.6%から0.2ポイント上昇し、過去最高の数字です。空き家数の推移をみると、これまで長期的な増加が続いており、1993年から2023年までの30年間で約2倍となっています。
日本の人口減少や高齢化が進む中、空き家増加の問題はますます深刻化しています。
空き家を狙った犯罪事件が急増
空き家数の増加に伴い、長期不在の空き家を標的とした犯罪も全国各地で急増しています。以下に具体的な事例を紹介します。
<空き家を狙った犯罪例1> 大阪府の空き家から高級腕時計が盗難
2023年、大阪府内のある空き家で高級腕時計が盗まれる事件が発生しました。盗難被害に遭ったのは、かつてその家に住んでいた男性の父親の形見のロレックスでした。
この家は2018年から長期にわたって空き家となっていましたが、男性は定期的に掃除のため訪れていました。ある日、空き家の和室に入ったところ、タンスの引き出しが開けられ、貴金属がなくなっていることに気づいたそうです。
捜査の結果、犯人は2021年から複数回、大阪府内の複数の空き家に侵入し、現金や貴金属を盗んでいたことが判明しました。
別の県の例ですが、茨城県警によると、空き家を標的とした窃盗事件の件数が急増しています。令和3年には173件だった件数が、令和5年には663件と、わずか2年で4倍近くまで増加しました。
これらの窃盗事件の特徴として、8割以上が窓ガラスなどを破壊して侵入し、建物内から現金や貴金属を盗むというパターンが多いようです。
<空き家を狙った犯罪例2>千葉県の空き家が違法薬物の受け渡しの場に
2018年、千葉県で発生した覚せい剤の大型密輸事件では、住宅街の空き家が違法薬物の受け渡し場所として使用されていました。犯罪者たちは空き家に侵入し、住人になりすまして薬物や現金の入った荷物を受け取っていたのです。
この空き家は、実態のないダミー会社の所在地としても登録されており、密輸目的で用意されたものと見られています。
特に関東地方では、覚せい剤の受け取り場所として、都心から離れた郊外のアパートや工場が多く利用されているそうです。私たちの身近なところで、このような犯罪が行われている可能性があります。
空き家を狙った犯罪は、窃盗や薬物取引だけではありません。不法占拠や放火などの事件も発生しており、さまざまな犯罪のリスクが存在しているのです。
空き家の問題を解消するために
犯罪の温床になってしまうような空き家は、やはり長年放置するにはリスクが高いものです。ここでは、どのような対策や対応があるかを解説します。
空き家の防犯対策
すぐできる対策として、空き家の防犯対策としては次のようなことが考えられます。
・防犯カメラや自動で光るセンサーライトなど、防犯機器を活用する
・窓を強固に施錠するための補助錠を利用したり、窓ガラスを割れないものにしたり、格子をつけたりと侵入しづらい仕様に変更する
・庭の樹木の手入れをしたり、郵便受けに郵便物がたまらないようにしたりと放置されていない状態にする
・定期的に訪問し、近隣住民と連携し、不審者を見かけたときには連絡してもらう体制を築く
定期的に訪問できない場合には、空き家の管理を代行するサービスもあります。
ただし、長年空き家の管理を続けることになる場合は、根本的な対応を考えた方がよいでしょう。
空き家解消の施策が拡大!「相続空き家の3,000万円特別控除」がより使いやすく
空き家問題の深刻化を受け、政府も空き家対策に乗り出しています。
2015年には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。翌年には「相続空き家の3,000万円特別控除」と呼ばれる相続した家屋の売却時に所得税を軽減する特例措置が導入されました。
2023年12月の改正により、放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態などに定義される「特定空家」に加えて、「管理不全空家」も自治体からの指導・勧告の対象となりました。
管理不全空き家とは1年以上誰も住んでいない家で、例えば窓や壁が破損しているなど管理が不十分で、今後もそのままの状態だと特定空き家に指定される恐れのある空き家を指します。
2024年1月には、国土交通省の特別措置を延長、相続空き家の3,000万円特別控除の対象を拡大しました。従来、特別控除は売り主が耐震改修工事を行った建物や更地にした土地の売却が対象でしたが、新たに買い主が耐震工事を実施するケースも適用対象となりました。
空き家を資産として活用する方法も検討を
前述の空き家対策特別措置法による税制の優遇などをうまく活用しながら、空き家を放置するのではなく、積極的に活用する方法を考えることも重要です。
例えば、改修を行って売買用の住宅にしたり、用途替えをして店舗などとして活用するなど、さまざまな方法が考えられます。
空き家となった建物に資産価値がある場合、それを有効活用することで、所有者にとっても社会にとってもメリットがあります。ただし、空き家は年数の経過とともに資産価値が下落することが一般的ですので、早めの対応が望ましいでしょう。
まとめ
今回は、増加する空き家をターゲットした犯罪の例や空き家の対策・対応などについて紹介してきました。
空き家問題は、個人の財産管理の問題だけでなく、社会の安全にも大きく関わる課題です。空き家の対策や活用をお考えの場合は、専門家に相談してみるのもおすすめです。
よろず屋不動産は、相続不動産の活用において豊富な実績を持つ相続不動産のプロフェッショナルとして、数多くのお客様の相談をお受けしてきました。空き家の対応をお考えのときは、ぜひお気軽にご相談ください。