- COLUMN
不動産活用コラム
- 不動産活用のこと
- 2024.06.04
相続は争族と称されることもある程、様々なトラブルが生じやすいものです。
さらに、借地権付き土地の相続は、相続人同士だけではなく地主さんの権利についても配慮が必要になるため、対応がより複雑になるケースがあります。
借地権を相続することになった場合、どのような問題が発生する可能性があるのか、起こり得るトラブルを知っておき、適切な対処ができるよう、対策方法をご紹介します。
Contents
借地権とは?
借地権とは、借地借家法で定義される「土地を借りる権利」を指し、借り受けた土地に自分で建物を建てることが可能です。借地権は、一般的に2種類に大別されます。
地上権……土地所有者の許可を得ることなく第三者に譲渡・転貸が可能
賃借権……第三者への譲渡・転貸にあたり土地所有者の許可が必要
借地権と所有権との違い
「借地権」を保有している場合、借地権者は土地を借りる対価として、土地の所有者に地代を支払う必要があります。
一方、「所有権」は自身で土地を所有している権利が認められていること。当然ながら売却や賃貸を自由に行うことができます。
借地権の相続はできるの?
結論から話すと、たとえ借地権であっても、相続財産の対象となるので相続が可能です。
相続人が「借地権」を相続するにあたり、土地所有者から承諾を得る必要も明け渡す必要もありません。
そもそも、相続人の名義で賃貸借契約を改めて結び直す必要もありません。
とはいえ、土地所有者と良好な関係を続けるためには、双方に齟齬が無いように覚書等を取り交わし、賃貸借契約当事者の変更を行うことが望ましいでしょう。
借地権の相続にまつわる「土地の所有者」とのトラブル対策
借地権を相続する際には、土地所有者との間にトラブルが発生するケースもあります。
起こり得るトラブルのパターンとその対処法についてご紹介します。
地代の値上げを要求される
「相続」というタイミングで、土地所有者から地代の値上げを求められることがあります。
借地権の相続は今までと同じ条件で継承するのが原則なので、相続したからという理由で、地代の要求に応じる必要はありません。
ただし、地代が経済事情の変動等により「不相当」となった場合は、借地借家法上、地代の増減が認められることもあります。
特に東京都心部をはじめ地価は毎年上昇傾向にあるため、賃貸借契約を締結してから相当程度の年月が経過している場合、現在の地価・周辺地域の賃料相場などに比べてかなり安い地代が設定されている事象も多く見られます。このようなケースにおいては、土地所有者から「地代等増減請求権」を行使される可能性があります。
借地の返却や立ち退きを要求される
土地所有者によっては、相続を機に借地契約の解消を望むこともあります。このとき、土地所有者が借地契約更新を拒否するには「正当な事由」が必要となります。
「借地権を相続したから」「新しい地主さんへ売却したから」などの場合は立ち退きを請求する正当事由にはなりません。したがって、立ち退きに応じる必要はありません。
建物の建て替え・売却を承諾してもらえない
相続を機に、借地の上に建てた建物を増改築したと考える場合もあるでしょう。しかし、借地の上に建てた建物を増改築する場合は注意が必要です。まずは借地契約(賃貸借契約)の内容を確認してください。
なぜなら、契約で建物の建て替えや増改築をする際には、地主の承諾を取得すべき旨の特約が定められている場合が多くあるからです。
建物の増改築の問題は、地主さんとの間で大きなトラブルに発展する可能性も高いので、増改築する前に賃貸借契約書の内容をよく確認し、増改築の手続きをすすめてください。
借地権の相続にまつわる「相続人同士」のトラブル対策
土地所有者との関係は円満であっても、遺産分割協議を進める中で、相続人同士の間でトラブルが発生することもあります。
誰が借地を相続するかで揉める
資産価値が高い借地権付き建物、かつ遺産の中で大きな割合を占めているような場合、複数の相続人のうちの誰が相続するかで揉めるケースがよく見られます。
話し合いによって解決するのが望ましいのですが、どうしても合意に至らない場合は、「遺産分割調停・審判」を利用するといいでしょう。
共有名義で相続すると後々のトラブルを招く
借地権付き建物を誰が相続するか決められなかった結果、複数人で相続する「共有名義」にしておくこともあります。しかし、後々トラブルを招くことがあるため、注意が必要です。
建て替えや売却をすることになった場合、共有名義人全員の合意が必要となります。ここで意見が分かれ、揉めてしまうことがあります。
借地相続の際は相続税に注意!
上記以外にも、借地権相続の際に注意しておくべきことがあります。それは「相続税」です。
普通借地権の相続税評価額は「土地の自用地価格×借地権割合」で算出されますが、自用地(所有権)の評価額の30%~90%となります。
借地の立地が良い場合は、評価額が高額となり、相続税も想定以上に高額となってしまうケースもありますので、注意して確認しておきましょう。
まとめ
借地権者は、土地所有者の立場が強く、その内容に従う必要があると思われがちですが、法律においては借地権者の権利も認められ、守られています。土地所有者と意思の食い違いが生じた場合も、交渉することで損害を防げる可能性があります。
自分たちで判断が難しい場合は、専門家にも協力を得て、円満な解決を目指しましょう。
借地権の相続のことは是非お気軽によろず屋不動産へご相談ください。