- COLUMN
不動産活用コラム
- 空室対策のこと
- 2024.09.19
日本の住宅事情は大きな転換点を迎えています。かつては住宅不足に悩まされた日本社会ですが、今や空き家の増加が深刻な社会問題となっています。
総務省が2023年10月に発表した最新の住宅・土地統計調査結果によると、全国の空き家数が900万戸に達し、全住宅の13.8%を占めるという衝撃的な数字が明らかになりました。
この記事では、増加の一途をたどる日本の空き家問題について、経済的影響、そして対応策などについて解説していきます。空き家を所有している方、または将来的に所有する可能性のある方はぜひ参考にしてください。
日本の空き家数は、過去30年で激増
総務省の調査結果によると、2023年10月1日時点での全国の空き家数は900万戸に達しました。これは、前回の2018年調査から51万戸も増加しており、過去最多を更新しています。さらに驚くべきは、30年前の1993年と比較すると、空き家数が倍増しているという事実です。1993年時点では448万戸だった空き家が、わずか30年で900万戸にまで膨れ上がったのです。
空き家の驚異的な増加
総住宅数は、世帯数の増加に伴い6502万戸となり、前回調査から261万戸増加しました。しかし、問題は空き家が占める割合(空き家率)です。13.8%という数字は、過去最高を記録しており、日本の住宅事情が大きく変化していることを如実に物語っています。
地域別の空き家率
空き家率を都道府県別に見ると、興味深い傾向が浮かび上がります。最も高い空き家率を記録したのは和歌山県と徳島県で、ともに21.2%となっています。続いて山梨県が20.5%と高い数字を示しています。ただし、山梨県の場合は別荘などの二次的住宅が多いという特徴があります。
使用目的のない空き家の割合に限ると、鹿児島県(13.6%)、高知県(12.9%)、徳島県と愛媛県(ともに12.2%)の順となり、西日本で高い傾向が見られます。この地域差は、人口減少や産業構造の変化など、様々な要因が絡み合った結果と考えられます。
有効活用されていない空き家の増加
総務省統計局は、空き家が過去最多となった要因について、「単身高齢者世帯の増加に伴い、亡くなったり施設に移ったりした後、空き家になるケースが増えていると考えられる」と説明しています。これは日本社会の高齢化という大きな問題と密接に関連しています。
また、空き家のうち、賃貸用や売却用、別荘などに該当せず、使用目的のない物件は385万戸に上り、前回の調査から37万戸も増加しているのです。これらの物件が空き家全体に占める割合は42.8%で、2003年の32.1%から拡大を続けています。つまり、有効活用されていない空き家が増加していることが分かります。
空き家の経済損失とは?
空き家の放置というのは、所有者にとっても、周囲にとっても経済損失につながります。
長年放置した空き家は資産価値が下がっていく
空き家の増加は、単なる統計上の問題ではありません。空き家がもたらす経済損失は重要です。
長年住んでいない空き家は痛みやすく、売却を考えた時には経年劣化が進み、資産価値が想像以上に下がっていることもあります。
売却する前に大きな修繕が必要になったり、買い手が見つからなかったりすることも考えられるでしょう。
空き家の周囲の不動産価値も下落
空き家が増加すると、その周辺地域の不動産価値が下落する傾向があります。管理されていない空き家は、景観を損ね、防犯上の問題を引き起こす可能性があるため、地域全体の魅力が低下し、資産価値にも大きな影響を与えます。
東京大学不動産イノベーション研究センターからの発表によると、「長期にわたり空き家があると、その約50mの範囲におよび長期空き家数が1軒増えるごとに周辺の住宅の取引価格が約3%低下すること」が明らかになりました。
周辺の不動産価値にも影響を与えてしまう空き家。やはり長年の放置は極力避けたいものです。
空き家への対応・活用法とは?
空き家の所有者の方々にとって、その不動産を放置しておくのは経済的な機会損失につながります。ここでは、空き家への主な対応・活用法を紹介します。
売却による資金化
建物の状態が比較的良好な場合は、売却を検討するのも一つの選択肢です。
維持管理の負担から解放され、もし複数人で相続する場合は分割しやすいというメリットもあります。
売却を検討する際は、不動産業者に相談し、適正な価格評価を受けることが重要です。また、売却益に対しては税金がかかる場合があるので、専門家に相談することをお勧めします。
賃貸物件としての活用
空き家を賃貸物件として活用することは、安定的な収入を得る最も一般的な方法です。長期賃貸はもちろん、最近では短期滞在者向けの民泊としての活用も注目されています。
毎月の家賃収入が得られたり、物件の維持管理が容易になったりするほか、不動産価値の維持にもつながるというメリットもあります。
リフォームした上で事業用不動産に
空き家をリフォームし、事業用不動産に転用することで、新たな収益機会を創出できます。リフォームや設備の更新が必要になる場合があります。初期投資が必要であっても、長期的には安定した収入源になる可能性もあります。
カフェやレストランへの転用、シェアオフィスやコワーキングスペースとしての利用など、さまざまな活用法が考えられます。
事業用に転用する際は、用途変更の手続きや設備投資が必要になる場合があります。地域のニーズを十分に調査し、専門家のアドバイスを受けながら進めることが大切です。
上記のような活用のほか、維持したい空き家について管理サポートを外部に依頼する方法もあります。
以上、空き家所有者にとっての経済的メリットのある活用法を紹介しました。どの方法を選択するかは、物件の状況や立地条件、所有者の方針によって異なります。専門家のアドバイスを受けながら、最適な活用方法を見つけていきましょう。
まとめ
日本の900万戸にも上る膨大な数の空き家は、適切に管理・活用されなければ、経済的損失や社会問題の原因となりかねないでしょう。
ただし、視点を変えれば、これらの空き家は新たな可能性を秘めた「資産」「資源」でもあります。売却など一般的な解決策のほか、地域のニーズや特性に合わせて創造的に活用することで、新しい経済価値につながるかもしれません。
相続問題や管理の難しさから放置されがちな空き家ですが、早めに対策を講じることで、問題の深刻化を防げるはずです。
よろず屋不動産は、相続不動産の売却や活用で豊富な実績を持つ相続不動産のプロフェッショナルです。土地家屋調査士、税理士、ファイナンシャルプランナーなどさまざまな分野の専門家と連携してオーナー様の悩みをスムーズに解決いたします。相続不動産の活用をお考えの場合など、ぜひお気軽にご相談ください。