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不動産活用コラム
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- 2024.11.22
日本列島では、豪雨がもたらす災害が年々深刻さを増しています。
気がかりなのは、手入れの行き届かない空き家の存在です。所有する空き家を放置したままでいると、土砂災害に見舞われるリスクが高まってしまうかもしれません。
今回は、身近に迫る土砂災害の危険性と、具体的な備えについてお伝えしていきます。
Contents
土砂災害は30年前と比べ約1.5倍に増加
温暖化の影響で、私たちの国土を襲う土砂災害は確実に増えています。集中豪雨が近年では頻繁に発生し、土砂災害の大きな原因にもなっています。国土交通省によれば、土砂災害の数は、30年程前と比べて1.5倍に増加しているそうです。西日本豪雨が発生した2018年は特に被害が大きく、3459件の土砂災害が記録されています。
激しさを増す豪雨に加えて、高度成長期に造成された住宅地の老朽化などもリスクが高まっている要因といえるでしょう。
土砂災害の3つの分類とは?
土砂災害には3つのタイプがあります。以下にその種類を解説します。
崖崩れ
突然の崖崩れは、まさに一瞬の出来事です。長雨で地中に染み込んだ水分が土の重さを増し、斜面のバランスが崩れることで発生します。排水が壊れていたり、雑草や樹木が生い茂っていたりする空き家の場合、崖崩れの危険性が通常よりも高まってしまいます。あっという間に崩れ落ちるため、避難が間に合わないことも少なくないのです。
地滑り
地滑りの特徴は、その緩やかな進行にあります。地下水の影響などで斜面が少しずつ動き出し、数日から数週間かけてじわじわと進んでいきます。地面に亀裂が入ったり、建物が歪んだりといった前触れが見られることが多いものの、空き家の場合はこうした変化に気付きにくく、手遅れになりがちです。
土石流
土石流は、山腹や谷筋に溜まった土砂が、長雨や集中豪雨をきっかけに一気に流れ出す現象です。巨大な石や流木を巻き込みながら猛スピードで駆け下るため、途中の建物や道路を根こそぎ破壊してしまいます。空き家が渓流や谷筋の近くにあれば、特段の注意が必要でしょう。
「都市型土砂災害」にも注意
最近目立っているのが、「都市型土砂災害」です。山裾にある住宅地や盛り土の住宅地などが問題になっています。
都市外縁型
「都市外縁型」とは、山裾や丘陵地に接触した住宅地で発生する土砂災害です。
山裾の扇状にある住宅地では、大雨の影響で背後の山が崩れて土石流が起こると住宅地に流れ込み大被害を出してしまいます。
都市内部型
「都市内部型」は都市の中心や住宅が集まる場所で発生する土砂災害です。
急斜面に「盛り土」をして土地を平らにして住宅地造成した場所では、地中の排水がうまくいかず、大雨の影響を受けると盛り土ごと崩れることがあります。
土砂災害に備えるには?
土砂災害に備えるには、空き家の状態の定期的なチェックが最も大切です。以下にその確認方法をいくつか紹介します。
所在地が「土砂災害警戒区域」かどうか確認
まず手始めに確認したいのが、お持ちの空き家が土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)に入っているかどうかです。お住まいの都道府県が公開しているハザードマップや専用の地図で、簡単に調べることができます。イエローゾーンとは、土砂災害の危険性が高いとして都道府県知事が指定した区域のことです。
国土交通省や国土地理院 によるハザードマップは以下でも確認できます。
https://disaportal.gsi.go.jp
自宅の地盤が盛り土かどうかを確認
建物の土台が盛り土でできている場合、地震や大雨の際に地盤が緩みやすくなります。
建てた時の図面や擁壁の構造がわかる資料で確認できればベストですが、ない場合には土地の来歴を確認して、古い航空写真などで調べることになります。土地の来歴を確認して、盛り土かどうかを調べましょう。もし盛り土だとわかった場合は、より丁寧な管理が求められます。
家、擁壁、地盤の小さな変化に気をつける
空き家として所有している家についても、定期的に建物や敷地の様子を見に行くことをお勧めします。以下の点に特に注意を払いましょう。
ひびや隙間がないか
建物の壁や基礎、擁壁に入ったひびや隙間は要注意です。擁壁にできたひびが少しずつ広がっているようなら、地盤が動いている可能性があります。
排水パイプが正しく機能しているか
排水設備の目詰まりや破損は、土砂災害の引き金になりかねません。空き家では土や落ち葉などで排水溝が詰まりやすいため、定期的なチェックが欠かせません。
土砂崩れの前兆現象にも注意
土砂災害が起きる前には、いくつかの前触れが現れることがあります。斜面から湧き出る水が濁ったり、小石がパラパラと落ちてきたり、地面に亀裂が入ったりといった変化に気を配りましょう。こうした異変に気付いたら、専門家に相談することをお勧めします。
土砂災害警戒区域は売買時にも注意が必要
もしお持ちの不動産が前述の土砂災害警戒区域に含まれていた場合、将来売買する際に特別な配慮が必要になります。
宅地建物取引業法の定めにより、重要事項説明の中で、その物件が土砂災害警戒区域内にあることを買い手に伝えなければなりません。この説明を怠って、損害賠償請求を受けた事例が実際にありますので注意しましょう。
まとめ
一度起きると、取り返しのつかない被害をもたらす土砂災害。
空き家をお持ちの方は、まずは定期的な点検を行い、災害に備えておきましょう。定期的な訪問が難しく、自身での管理が困難な場合などは、専門家に相談したり、場合によっては売却や活用方法を検討したりすることも一案でしょう。
よろず屋不動産は、空き家の活用において豊富な実績を持ち、数多くの問題を解決してきました。相続不動産のプロフェッショナルとして知識豊富なスタッフがそろっております。
空き家についてのお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。