• 不動産活用のこと
  • 2024.12.13
空き家のメンテナンス不足が引き起こす環境問題

近年、日本全国で空き家問題が深刻化しています。空き家の放置は地域社会に深刻な影響を及ぼしています。空き家対策特別措置法が改正されたことにより、行政代執行といわれる自治体による強制撤去の事例も出てきています。

今回は、空き家がもたらす環境問題と、その対策について詳しく解説します。

空き家対策特別措置法による行政代執行が増加

2015年に施行された空き家対策特別措置法は、管理不全な空き家への対策を強化する重要な法律です。

最近では、この法律に基づく代執行の事例が増加しています。空き家の老朽化が進み、崩壊が進んで近隣住民の安全を脅かす状態となっているような事例です。

下記は2024年に、空き家対策特別措置法により行政代執行された空き家の事例の一部です。

  • 山梨県甲府市 傾きのため一部が隣の家に接触した、倒壊の危険のある空き家を強制撤去する行政代執行
  • 三重県伊賀市 敷地内の樹木が繁茂、周辺環境に悪影響を及ぼしている空き家を強制撤去する行政代執行
  • 岡山県笠岡市 老朽化で倒壊の危険のある空き家を強制撤去する行政代執行

 

行政代執行による解体には多額の費用がかかり、最終的にその費用は所有者に請求されることになります。このような事態を避けるためにも、所有者による適切な管理が不可欠となっています。

なぜ空き家として放置してしまうのか

国土交通省が2019年に実施した空き家実態調査によると、空き家として放置される主な理由には、「物置として必要」「解体費用をかけたくない」「更地にしても使い道がない」」などの理由が挙げられています。

さらに、高齢化により物理的に管理が困難になることや、遠方への転居により定期的な見回りができないことなども、空き家放置の背景として指摘されています。

また、相続に関する問題は深刻で、相続人が複数いる場合や所有者の特定が困難な場合には、空き家の処分や管理について意思決定ができない状況にも陥ってしまうこともあります。

なぜ空き家が環境問題になるのか?

空き家がもたらす問題は多岐にわたりますが、特に深刻なのが生活環境への影響です。

空き家が環境問題として認識される背景には、建物の管理不全がもたらす様々な環境負荷があります。まず、庭木や雑草の放置による問題が挙げられます。適切な管理がなされない庭では、雑草が繁茂し、放置された庭木は街路にはみ出し、通行の妨げとなるだけでなく、落ち葉による排水溝の詰まりなども引き起こします。

自治体の調査によると、最も多く報告されているのが「雑草・悪臭など衛生環境悪化」の問題です。放置された建物には、ゴミの不法投棄が発生しやすく、それが腐敗して悪臭を放つことがあります。また、衛生環境の悪化は、ネズミなどの害虫の繁殖を促進し、周辺地域の公衆衛生に重大な影響を及ぼしてしまうでしょう。

さらに、放置された空き家は、地域の景観を損なう要因ともなります。管理されていない建物は、街並みの美観を著しく損ない、地域の不動産価値の低下にもつながります。これは、単なる見た目の問題だけでなく、新たな住民の流入を妨げる要因ともなっています。

空き家を環境問題にしないために何ができる?

空き家による環境問題を防ぐためには、まず予防的な取り組みが重要です。定期的な見回りと基本的なメンテナンスを欠かさないことです。

下記に、空き家の外観についての主なチェックと管理方法を一部紹介します(国土交通省「空き家の管理のやり方」より)。

 

  • 定期的に以下の管理を行っていますか。

通気や換気/排水設備の通水/敷地内の清掃/庭木の枝の剪定/郵便物等の確認・整理 

 

  • 建築物全体が傾いていませんか。 屋根が全体的に変形していませんか。

管理方法:柱、はりの補修や防腐処理などを依頼しましょう。

 

  • 外装材などにはがれ、破損や汚損はありませんか。 不法侵入につながるような窓の破損はありませんか。

 管理方法:はがれた部材などは撤去、 補修などを依頼しましょう。

 

  • 屋根材のはがれや破損はありませんか。 軒の脱落、 傾きなどは生じていませんか。

管理方法:はがれた部材などは撤去、 補修や防錆処理などを依頼しましょう。

     破損部分は補修を依頼し、封水の注入を行いましょう。

 

  • 敷地内にごみが散乱して景観を損なっていませんか。 腐敗して悪臭や不衛生な状態が生じていませんか。 

管理方法:清掃などを行いましょう。

 

  • 門、塀や屋外階段に傾きや破損はありませんか。 擁壁にひび割れ等はありませんか。

管理方法:補修や防錆処理などを依頼しましょう。

 

  • 立木の幹が腐ったり、 大枝が折れたりしていませんか。 枝がはみ出して、 通行障害などになっていませんか。

管理方法:立木の伐採、 枝の剪定などを行いましょう。

 

  • 動物が棲みつき不衛生な状態や悪臭、 騒音が生じていませんか。 隣家等への侵入は見られませんか。 

管理方法 :駆除などを依頼しましょう。

 

空き家の管理は、定期的な点検とメンテナンスがとても重要です。

遠隔地にお住まいなどで自身による管理が難しい場合は 空き家管理業者や修繕業者などの利用を検討するとよいでしょう。

 

また、空き家のままにせずに、利活用を積極的に検討することも有効で、専門家への相談を通じて、相続対策や資産管理の方法も検討しましょう。

まとめ

空き家の問題は、所有者個人だけに関わる問題でなく、地域社会全体に影響を及ぼす環境問題になりえるものです。適切な管理と積極的な利活用を通じて、空き家が環境問題となることを防ぐよう心掛けていきたいものです。

よろず屋不動産は、空き家の活用において豊富な実績を持ち、数多くの問題を解決してきました。相続不動産のプロフェッショナルとして知識豊富なスタッフがそろっております。
空き家についてのお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。